インテリア空間の「価値」は何を基準に設定していますか?
お金の価値は社会が決めています。1000円の貨幣は1000円の価値です。それ以上でもそれ以下でもありません。 しかし、インテリア空間の価値は人それぞれであり、考え方も取り入れ方も千差万別です。それが「価値感」とすれば、個々の生活スタイルの影響がとても大きく、欲しい(手に入れたい)インテリア空間には一定の決まった尺度などは存在しません。
私にないモノがあなたにある。 あなたにないモノを私は持っている。
この差異に「価値」は生まれます。
欲しいモノに嗜好があり、手に入れたいモノに人は心を動かされます。モノがなければ価値は存在しないでしょうか? そんなことはないと思います。何故なら、コトに対して多くの時間とお金を費やす時代だからです。
住宅照明には、インテリアや空間を引き立てる「効果」や「役割」が存在します。単に明るさを求める時代は終わり、空間に価値を吹き込み、自ら楽しみ、ちょっと自慢できる「演出」をすることで 「価値」が大きく変わります。
これからの新しい生活を手に入れようとしている施主に対して、私たちが提供できるものは「情報」と言う価値です。今は情報の時代であり、誰もが簡単に好きな時に好きなだけ情報を手に入れる事が可能です。 しかし、どの情報が自分の生活に寄り添う情報かを判断し決めなければなりません。 沢山の情報を施主に提供する事は簡単なことです。 大切なことは、提供する情報を整理し施主に寄り添った生きた情報です。身の丈にあった情報こそが喜ばれる情報です。 そこに「価値」が生まれます。
この生きた情報を基に身の丈に合わせた「インテリア空間」に、手に届く範囲の価格を付けなければなりません。
例えば、体験型の「コト」は、予め予習したイメージが存在します。そのイメージの対価を考え自身の身の丈に合わせてやるやらないを決めます。県内一周ドライブに行く。日本一周の旅に飛行機と電車で行く。世界一周の船旅に行く。宇宙旅行にロケットで行く。自分に置き換えると興味の有無は別として出来る出来ないの尺度で判断は出来ると思います。
モノの価格はそのモノの価値で決まります。良いモノと思えば高いお金も払います。 出来上がった良い空間を見る事ができればその空間に対価したお金を払います。問題は、その空間を想像しどのような対価を求めるかです。 まだ無いものに対して対価を求めることに難しさがあります。 これは建築側の考え方にも大きく左右されます。 照明の価値は、明るければそれで良い。照明メーカーにプランボードを依頼すると無料でやってくれる。 そう考えれば明るさ以外に照明の効果で価値は生まれません。照明計画にお金を払う事など考えられない事です。 一方で、生きた情報を基にそこに住まわれる生活をイメージしたインテリア空間を創ろうとした場合、理想の「インテリア空間」が身の丈に合った価格で手に入るなら、施主はその提案に対価を払います。 そこには必ず役割を持った照明達が介入します。 どんな照明達をどこに仕込めば良い効果が生まれ、良い演出が出来るかを考えます。
それが、住宅照明の価値と思います。