壁の演出
素材×光
まず自由な視点で素材選びから始めます。選んだ素材を演出するために効果的な光をどこからどのようにあて込むと良いかを考えます。さりげなく、強すぎない程度の光。光が黒子に徹することで生まれた空間デザインは間違いなく「なんか、いいね!」に繋がります。この「なんか、いいね!」の感情が記憶に残す材料に変身するという考え方。素材にどんな質の光をあてると空間演出が素敵に出来るか? 素材の色・形、凹凸の有無によってどんな光を組み合わせると良いかを想像出来るようになればGOODですね。素材の魅力を最大限に引き出すには、光の対比やメリハリを考えたり、均一な光環境を検討してみたり当てこんだり透過させたりとあらゆる角度から検証することで、素材を演出する最良の光を見出すことが「素材×光」の目指すGOALです。
これを灯り計画では、「Material Lighting」と呼んでます。
素材を演出する際に、効果的な造作に「ニッチ」を作ることをお勧めします。ニッチ置く素材は季節や来客などのタイミングに合わせて自由に簡単に置き替えることが可能。ニッチを演出するのではありませんよ。ニッチに置く素材を演出するのです。ニッチ用の照明手法は複数あります。光の仕込み方で素材の見え方が大きく変わりますから、どんな手法が良いか是非検討してみて下さい。
- ダウンライト(上からの光)
- ライン照明(上からの光)ニッチの位置が目線より下にある場合は照明器具を上に仕込みます。
- ライン照明(下からの光)ニッチの位置が目線より上にある場合は照明器具を下に仕込みます。
- ライン照明(奥)素材をシルエットとして演出します。
- 導光板照明(全体の光)均一な光で演出します。
玄関に入ったらニッチ照明が点灯する。階段照明はニッチ照明だけ。廊下には間接照明とニッチ照明だけで天井には照明を付けないなど、工夫次第で空間のインテリアがグンとグレードアップします。
素材(コーラルジェイド)
これは「石焼加工タイル」です。この手の素材は山ほどあります。タイルだけでも種類も品目も数えきれないほどあります。例えばこのちょっとゴツゴツした素材を演出するにはどんな光が適しているでしょうか?
光の色を暖色系にしただけでも素材の見え方が変わります。この実験では寒色の素材に暖色の光を重ねた場合の見え方です。
結局、設計事務所からの要望もあり、前面からの光は調光調色のダウンライトで、横からの光、上からの光は回路を分けて暖色系の光を仕込みました。季節によって大きな壁の演出を楽しめる工夫をした現場事例です。ここまで演出する現場は少ないと思いますが、予め選んだ素材に合う光の色と強さをイメージ出来ることは、空間デザインを考えるうえで極めて重要な要素であることは間違いありません。
素材(ガラスのレンガ) クリスタルブリック
これはクリスタルブリックという商品名のガラスのレンガです。透明なガラスは光を透過しますがこの素材は光の屈折が程よい演出に一役買っています。光を挟んでみたり、後ろに置いてみたり、サイドから入射してみたりと光の仕込み方でその表情が変化します。
照明器具の種類によっても、当てる場所によっても表情が変わります。色温度も光の強さも向きによっても変化します。このあたりに来ると実験を重ね方向性を決めなければなりませんが、確実に言えることは空間デザインにおける光の役割は大きな要因になっていること。です。
どこにでもある素材でないからこそ生まれる魅力的な空間を、光を使ってさらに魅力的なデザインに昇華することが出来ます。
是非、色々な素材に合う光を実験してみてはいかがでしょうか?
喜んでお手伝いします。
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