もしも光に「人権」があったのなら・・・
私は職業柄、照明達をいつも探しています。仕事の時も、プライベートでも。
照明達は、主張する照明もあれば、隠れた照明もあります。
野球のスタジアムの照明、車や電車のヘッドライト、ペンダントライトは主張する照明。
間接照明や美術館の絵画用の照明、足元灯などは隠れた照明。ダウンライトも隠れた照明。
あらゆるところに目的に合わせた沢山の種類の照明器具達が世の中にはあふれています。
照明の種類とは、ダウンライト、スポットライト、ペンダントライト、スタンド照明、非常灯や誘導灯などのこと。
更に光の強さ、光の広がり、光の色、調光の有無、照明器具の色、眩しさの軽減などの機能別に商品型番が設定されカタログに掲載されています。
その数、なんと数十万点以上。
そして問題は、その場所に合った照明器具がちゃんと付いているかというと、意外とそうでもないんです。
まぁ、光の専門家としての立場だから「問題」なので、一般生活者にはなんら支障はありません。
で、問題というのは、
やたら赤い光が目立つスーパーの精肉売り場。
料理の色がわからないほどくらい居酒屋。
数えきれないほど、その場に不釣り合いな照明器具は沢山ある。 とい事実。
自分(照明器具)のスペックに合わない場所に設置された不幸な照明器具達からは悲痛な叫びが聞こえてくる。
というわけ。
かつては事務所だった居抜きのテナントビルを改修してオープンしたビストロ。
白を基調としたカジュアルなインテリアデザインは良いが、白色光のベース照明では料理が全く美味しそうに見えない。
照明器具達からすると、料理を美味しそうに見せる照明器具は俺たちではない。と言っているよう。
もしも光に人権や人格があったなら、世の中うるさくてかなわないだろう。
もっと眩しくないように、もっと明るく、調光機能も付けて、角度が悪い、もっと広範囲に、いやいやもっと照射範囲を狭めて・・・
そこは俺の光が適してる、あいつの方がもっと高性能な器具だ。新入りの若造の光はなかなかいいぞ。
10年も点いてりゃ、もうあの器具はばあさんだ。
あっちからも、こっちからも声が聞こえてきそう。
こんな声が聞こえたら、僕の仕事はもっと楽しくなるだろう。
僕の親友は皆照明器具達になってしまうのかも知れない。
いや、もうすでに、照明器具達と想像で会話をしている。
静かなところは、その場に適した照明器具達が設置されている場所。
理想的な空間とは、そういう場所なのかもしれない。。。
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