自然の光の移ろい。色の映り方を敏感に感じる夕暮れ時、空の色の変化を楽しむ。感受性を育む一瞬の至福の時間。

「感性を磨く」それは、感受性が豊かに育つことにつながり、心地よい光環境は人の心を穏やかにする。

1. 〜 暮らしのあかり 〜

一歩外に出かけると、様々な照明達が色々な場所に取り付けてある。当然ではあるが、その全てが商業や公共の照明(あかり)。安全性を確保する照明、商品を売るための照明、サービスの向上のための照明など目的と役割がキチンと存在している。
「暮らしのあかり」はどうだろう?
ほとんどは明るさを確保するもので、雰囲気を楽しむことを考えたり、心地良い明るさを作ることを目的としていない。だからなのか、ちょっと照明の位置、色、向き、広がり、明るさの強弱などを変えるだけで部屋の雰囲気が劇的に変わり、心の満足度が向上する。
インテリアに興味のある方はシーリングも含めペンダント照明やスタンド照明などインテリアの一部として器具のデザインを選ぶと良い。上級編になると、インテリアの素材を活かす照明手法を考え部屋全体の空間構成を引き立てる(心の感情価値を上げ、感性に訴える)
いずれにしても、毎日の生活を豊かにするには、毎日使う照明に少しだけ感情移入してもいいと思う。

2. 〜 インテリアとあかりの関係 〜

インテリアと照明の組み合わせを考えると、大概はそのインテリアに合う照明デザインを選ぶ傾向が強い。例えば、シンプルモダンなインテリアに合うすっきりとした照明器具とか、エレガントなインテリアにはプリーツの効いたスタンド照明やシャンデリア合いそうだとか・・・。
確かに、それも「あり」。

ここからもう一歩踏み込み本来の照明の役割(明るくする)を、演出するための(道具や機能)として考えてみる。演出とは、「何か」をフォーカスしそれに光を当てること。驚くほどひかりの効果を発揮をしてくれる。

「何か」とはあなたが選んだインテリアの「素材達」

家具もカーテンも小物の雑貨もディスプレイを考えたシェルフだっていい。これらの「素材達」に合う照明を照明が主張しないように仕掛けてみる。そうすると、ひかりが当たった「素材達」の表情が劇的に変わる。そしてそれを楽しむ心の余裕が生まれる。心地よい光環境はこうして考える。これが灯り計画のベースの考え方です。

 〈心地良いと感じる光環境〉  
自然光から学び、感受性を育む。それが「感性を磨く」こと。

〈自然光と人工光〉
夕焼けや朝焼けを見て思わず足を止めて空の色の変化を感じたことはありますか?
この空の色のグラデーション。一瞬を切り取っても壮大なキャンパスで描かれた最高の自然の芸術。
精神的にも感情的にも心が動かされます。(私だけではないと思いますが・・・)
自然光のグラデーションに近づける人工光の技術進化もあり、こんな素敵な間接照明も出来る時代です。

3.〜 ひかりの 罠 を仕掛ける 〜
飲食店の事例がわかりやすいので紹介します。
入り口の暖簾のあかり。酒瓶のディスプレイのひかり。料理にあてるひかり。適度な暗さ。「なんか良さそうな店じゃない?」店構えの第一印象は大事。客層まで変わってしまいます。暖簾をくぐった瞬間、期待を裏切らない雰囲気。料理には光の質に拘った高い演色性のひかり。売りたい酒にひかりをあてる。ひかりが当たっているオススメの酒瓶。味にも、雰囲気にも満足し、お気に入りの店にリスト入り。

ひかりの「罠」はいたるところに仕掛けられ、お客の心をわしづかみにするのです。

4. 〜 ひかりを隠す 〜
心地良いと思える空間にはひかりの存在がありません。不快に感じる「眩しさ」を排除するためです。
この眩しさ(グレア)が無い空間に身を置くと、とても心がリラックスします。40歳を超えると全ての人の目は退化していきます。退化が進むと不快指数の割合が明るさよりも眩しさが勝つと言われます。

間接光はもともとひかりを隠していますが、ダウンライトやスポットライトでもグレア対策をすることが出来ます。光源が見えないように工夫した照明器具も沢山販売してますが、残念ながら眩しさ対策をしている器具と認知されていません。なのであまり売れないのです。僕は積極的に使ってますが・・・。キラキラした照明器具が素敵に見えるのは40歳くらいまでなのかもしれないですね。

5. 〜 暗さを設計する 〜  
照明は明るくするもの。と思ってませんか? 普通はそう考えます。暗くなったらつけるのが「電気」ですから。
では、心地良い明るさを考えたことはありますか? 明るさには基準があります。必要照度というものです。本を読むなら500ルクス以上とか、勉強するなら800ルクス以上とか。この基準については後述しますが、暗さには基準はありません。心地よいと感じる明るさは人それぞれですから。その場合、調光スイッチで対応すれば事足ります。では、万人受けするにはどうするのか? それは、明るさの対比を作ること。メリハリをつけるという表現をしますが、このメリハリを和らげると空間がやさしくなります。それが出来たら、全体の明るさを調光器で整えます。大事なのは「明るさ感」と「暗さ感」実際には暗くても明るく感じる照明設計手法です。

では、明るさ感とはどんな感覚なのでしょうか?

続きはこちらから・・・(工事中)

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